「ビタミンD」を攻略せよ。30代・UC患者の私が、太陽と食材から免疫の鍵を握るための全知識。
ビタミンDは、名前に「ビタミン」とついていますが、現代の医学では「ステロイドホルモン」に近い性質を持つ物質として再定義されています。
全身に存在する「ビタミンD受容体(VDR)」を通じて、遺伝子レベルで私たちの免疫をコントロールしているのです。
特に炎症という「火災」を抱えやすいUC患者にとって、ビタミンDは消防士であり、同時に腸壁という石垣を修復する石工でもあります。
1. 免疫の「暴走」を鎮める、究極のモジュレーター
UCの本質は、免疫システムが自分の大腸粘膜を「敵」と誤認して攻撃してしまうことにあります。ビタミンDは、この狂った攻撃命令を優しく、かつ強力に解除してくれます。
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「Tレグ細胞」の育成: 免疫の過剰な攻撃を抑える「制御性T細胞(Tレグ)」を増やす働きがあります。これにより、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)の産生が抑制され、腸の平穏が守られます。
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抗菌ペプチドの生産: 腸内で有害な菌が増えないよう、天然の抗菌物質(カテリシジンなど)の産生を促します。これは、腸内フローラを健全に保つために極めて重要です。
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「整える」ことの重要性: 免疫は「高ければいい」わけではありません。ビタミンDは、低すぎる免疫は引き上げ、高すぎる(暴走している)免疫は落ち着かせる「モジュレーション(調整)」を行ってくれるのです。
2. 腸管バリア「タイトジャンクション」の接着剤
「リーキーガット(腸漏れ)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。腸の粘膜細胞同士に隙間ができ、そこから毒素が漏れ出す状態です。UC患者はこのバリア機能が低下しがちですが、ビタミンDはここでも驚異的な力を発揮します。
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細胞を繋ぎ止める: 腸の細胞同士を密着させている「タイトジャンクション」というタンパク質の合成を促進します。これにより、物理的に「漏れない腸」を作り上げ、炎症の火種を遮断します。
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修復スピードの向上: 万が一、炎症で傷がついたとしても、ビタミンDが十分にあれば細胞の再生がスムーズに行われ、寛解へのスピードが加速します。
3. ステロイド副作用への「最強の対抗策」
UCの治療、特に活動期においてはステロイド(副腎皮質ホルモン)の使用が避けられないことがあります。ステロイドは炎症を抑える特効薬ですが、代償として「骨のカルシウムを溶かし出す」という副作用があります。
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骨の銀行を守る: 30代は、一生の骨密度が決まる最後のチャンスです。ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を数倍に高め、骨からカルシウムが流出するのを防ぎます。
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南部鉄器との相乗効果: 南部鉄器で沸かしたお湯や、バランスの取れた食事で摂取したミネラル。これらを宝の持ち腐れにせず、しっかりと体内に定着させるための「運び屋」こそがビタミンDなのです。
4. 【実践】ビタミンDを最大化する生活習慣の設計図
ビタミンDは、食事から摂る「D2」「D3」と、日光によって皮膚で合成される「D3」のハイブリッドで補うのが理想です。
① しいたけの「日光浴リチュアル」
これまでの記事で紹介した「しいたけ」を思い出してください。
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エルゴステロールの変身: しいたけに含まれる成分は、紫外線に当たるとビタミンD2に変化します。
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実践法: 買ってきたしいたけを、調理前に「ひだを上にして1時間」日光に当てる。これだけで栄養価は爆発的に高まります。それをジオ・プロダクトの鍋で優しく蒸し煮にする。これこそが、UC患者にとっての「食べる薬」です。
② 「炊飯散歩」による自家発電
私が提唱する、毎日お米を炊く時間を散歩に充てる習慣。
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UVB(紫外線B波)の恩恵: 日焼け止めを塗らずに、手のひらだけでも15分〜20分太陽にかざすだけで、体内で大量のビタミンDが合成されます。
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季節の調整: 冬場は日光が弱いため、少し長めに歩く。夏場は早朝の涼しい時間に歩く。お米をセットして、テニスラケットを手に取る。そんな活動的な時間が、あなたの血中ビタミンD濃度を底上げします。
③ 質の良い「油」と一緒に
ビタミンDは脂溶性です。
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調理のコツ: ジオの鍋でしいたけを調理する際、少量の良質な油(オリーブオイルや、お腹に合えば魚の脂)と一緒に摂ることで、吸収率が飛躍的にアップします。
5. 注意点:過剰摂取と「マグネシウム」の重要性
最後に、いくつか重要な注意点を挙げます。
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サプリメントの盲点: 食事や日光だけでは不足しがちな冬場などは、サプリメントも有効ですが、脂溶性のため過剰摂取による蓄積(高カルシウム血症)には注意が必要です。必ず定期的な血液検査で、自分の数値(25(OH)D)を確認しましょう。
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マグネシウムを忘れずに: ビタミンDが体内で活性化されるためには、マグネシウムが必要です。海藻(昆布など)や、ごま、大豆製品(納豆)を日々の献立に含めることは、ビタミンDを働かせるための「潤滑油」を補給していることと同じなのです。
おわりに:太陽と大地と、自分の体への信頼
ビタミンDを意識する生活とは、突き詰めれば「自然のリズムと同調すること」に他なりません。
便利すぎる電子レンジを捨て、お米を研ぎ、太陽の下を歩き、しいたけを干す。一見すると効率の悪いこれらの行為は、科学の目で見れば、私たちの免疫システムを最適化するための、これ以上ないほど「効率的な戦略」なのです。
30代。体力の変化を感じ始めるこの時期に、ビタミンDという心強い味方を得ることは、UCという荒波を乗り越え、その先の輝かしい未来を自分の足で歩き続けるための「最高の投資」になるはずです。
明日、炊飯器のスイッチを入れたら、その足で少しだけ太陽の光を浴びに行きませんか?