保険に入れない不安を「資産」で突破する。UCの私がNISAとiDeCoを「自分専用の保険」に決めた理由。
30代。
周囲では結婚や出産、マイホームの購入といったライフイベントが重なり、それに合わせて「手厚い保険」に加入する友人が増えてきます。
そんな中、私たちは告知書の「持病」の欄で筆が止まります。
「潰瘍性大腸炎」。
この一言を書くだけで、多くの保険会社から「加入不可」や「厳しい条件付き」という通知が届くのが現実です。
「もし自分が働けなくなったら?」「長期入院になったら家族はどうなる?」 そんな形のない不安に押しつぶされそうになる夜もあります。
しかし、冷静に現状を分析してみると、私たちには保険に頼らなくても自分を守る「もう一つの道」があることに気づきます。
1. なぜ「民間の保険」に固執しなくて良いのか
まず、私たちが知っておくべきは、日本という国の公的保障の手厚さです。
安心安全に生活ができ、さらにこのような医療サポートが受けられる日本という国に生まれたことに本当に感謝をする日々です。
指定難病受給者証の存在
UC患者の多くが利用しているこの制度により、月々の医療費の自己負担には所得に応じた「上限」が設けられています。
どんなに高額な治療(生物学的製剤など)を受けても、際限なくお金が出ていくわけではありません。
高額療養費制度
難病指定の枠外であっても、この制度によって一ヶ月の支払額には一定の歯止めがかかります。
傷病手当金
会社員であれば、病気で働けなくなった期間も給与の約3分の2が最長1年6ヶ月間保障されます。
これらを冷静に積み上げていくと、民間の保険でカバーすべき「真のリスク」は、実はそれほど大きくないことが分かります。
保険会社に高い手数料(保険料)を払い続けるよりも、その分を自分の手元で運用する方が、UC患者にとっては圧倒的に「効率が良い」のです。
2. 【詳細解説】NISAを「流動性のある医療予備費」として育てる
保険の代わりとしてまず活用すべきが、NISA(少額投資非課税制度)です。
特に2024年からの新NISAは、私たちにとって「最強の自己保険」になります。
「つみたて投資枠」でコツコツ種銭を作る
月々、保険料として支払うはずだった1万円〜3万円を「全世界株式(オール・カントリー)」や「米国株(S&P500)」のインデックスファンドに積み立てます。
これらは過去数十年、紆余曲折ありながらも右肩上がりを続けてきた資産です。
非課税保有期間が無期限であるメリット
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAなら全額が自分のものになります。
30代から始めれば、40代、50代と年齢を重ねるごとに、複利の効果で資産は加速度的に膨らんでいきます。
「いつでも解約できる」という安心感
これが保険との大きな違いです。
急な入院や、最新の自費診療を受けたいと思った時、NISAに貯まっている資産(投資信託など)は数日で現金化して治療費に充てることができます。
証券口座から銀行口座に移し替えるなどの手間が必要ですが、保険会社から振り込みを待つよりもきっとスピーディーなはずです。
こういう手続きはなにかとネット証券・ネット銀行が便利です。
保険のように「支払い対象外」と言われるリスクもありません。
3. 【詳細解説】iDeCoを「絶対に切り崩さない鉄壁の老後資金」にする
iDeCoは所得控除による節税メリットが非常に大きく、私たち30代の会社員にとって強力な味方ですが、「勤務先の年金制度」によっては、利用に制限があったり、加入できなかったりするケースがあります。
まずは、ご自身の会社が以下のどのパターンに当てはまるかを確認することが第一歩です。
「企業型DC(企業型確定拠出年金)」が導入されている場合
多くの大手・中堅企業では、会社がお金を出してくれる「企業型DC」が導入されています。以前は規約で禁止されているとiDeCoに加入できませんでしたが、2022年10月の法改正により、原則として併用が可能になりました。
ただし、会社が「マッチング拠出(給与から上乗せして拠出する仕組み)」を採用している場合、iDeCoとどちらか一方しか選べないケースがほとんどです。
どちらが有利かは、会社の拠出額や手数料を比較して判断する必要があります。
「確定給付企業年金(DB)」などがある場合
昔ながらの退職金制度(DB)が手厚い会社の場合、iDeCoの月々の拠出限度額が1.2万円と低く設定されることがあります。
iDeCoが利用できない特殊なケース
極めて稀ですが、企業型DCの拠出額が法的な上限に達している場合などは、iDeCoの枠が残っていないこともあります。
[チェック方法のアドバイス] 自分がiDeCoを使えるかどうかは、社内のポータルサイトで「確定拠出年金」や「企業年金」の規定を確認するか、人事・労務担当者に「iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入したいのですが、事業主の証明や規約上の制限はありますか?」と問い合わせるのが最も確実です。
4. もしiDeCoが使えなかったら?
もし会社の制度上、iDeCoの活用が難しい場合でも、決して諦める必要はありません。
新NISAの枠をフル活用する
iDeCoのような所得控除はありませんが、NISAには「いつでも引き出せる」という圧倒的な機動力があります。
iDeCoに回せなかった分をNISAの「つみたて投資枠」や「成長投資枠」に乗せることで、より柔軟な「医療・生活防衛資金」を構築できます。
企業型DCの中で最良の選択をする
会社が用意してくれている企業型DCがあるなら、その中で「元本確保型(定期預金など)」ではなく、コストの低い「インデックスファンド」を自分で選んで運用するだけで、立派な資産形成になります。
保険という「他者が作った枠組み」に入れないからこそ、私たちは会社の制度を賢く使い倒し、NISAという自由なツールを駆使して、自分だけのオーダーメイドな安心を積み上げていくべきなのです。
おわりに:制度を「知る」ことが、最大の防御になる
「保険に入れない」というハンデは、見方を変えれば、日本の公的制度や会社の福利厚生、最新の投資制度を深く学ぶ「きっかけ」になります。
多くの健康な人が「なんとなく保険に入っているから安心」と、高い手数料を払いながら思考停止している間に、私たちは「何が起きても、自分の資産と公的保障で戦える」という圧倒的なマネーリテラシーを身につけることができます。
30代。お金の知識を武器にして、UCという病気に振り回されない「揺るぎない安心」を、自らの手で掴み取りましょう。