忙しい毎日、特に仕事で疲れて帰宅した夜は「手っ取り早くシャワーだけで済ませたい」と思うことも多いはずです。

30代という働き盛りの時期、効率を求めるのは自然なことかもしれません。

しかし、潰瘍性大腸炎(UC)と向き合う私にとって、お風呂は単に体を洗う場所ではなく、「体温を上げ、免疫システムを整えるための治療時間」でもあります。

今回は、日本人が古来より大切にしてきた「湯船に浸かる」という習慣が、なぜUCの暮らしにおいて最高のQOL向上術になるのか、その理由をお話しします。


1. 体温が”1度”上がると、免疫力は変わる

私たちの体には、本来、外部の刺激や内側の異常から自分を守る「免疫」という仕組みが備わっています。

この免疫細胞(白血球など)が最も活発に働くのが、体温が一定以上に保たれている時です。

よく「体温が”1度”下がると免疫力は 30%低下し、”1度” 上がると 5〜6倍になる」と言われることがありますが、これは誇張ではないと信じています。

血流の改善

湯船で体を温めると血管が広がり、酸素や栄養が全身、そして大切な「腸」へもスムーズに運ばれます。

ヒートショックプロテイン(HSP)の増加

体が温まると、傷ついた細胞を修復してくれる「HSP」というタンパク質が増えます。これは腸粘膜の修復を助けたい私たちにとって、非常に心強い味方です。


2. 「腸」と「自律神経」を温めるメリット

UCは、自律神経の乱れやストレスが再燃の引き金になることが知られています。湯船に浸かって深部体温を上げることは、腸だけでなく「心」のケアにも直結します。

内臓を直接温める

シャワーだけでは表面しか温まりませんが、湯船に浸かることで、炎症を抱える「お腹(内臓)」を深部から温めることができます。血行が良くなることで、お腹の張りや不快感が和らぐのを実感するはずです。

自律神経のスイッチ

湯船に浸かることは、交感神経(緊張)から副交感神経(リラックス)へとスイッチが切り替わるのを助けます。

腸の蠕動(ぜんどう)運動は副交感神経が優位な時に整うため、お風呂は腸のコンディションを整える最短ルートなのです。


3. UCの私が実践する「お風呂の作法」

せっかくのお風呂も、入り方を間違えると逆に体に負担をかけてしまいます。私が日々実践しているポイントは3つです。

① 温度は「41度」が最適解(私の場合)

短時間で効率よく深部体温を上げ、HSPを増やすには、少し熱めの「41度」が効果的だと感じています。

「温まったな」と実感できるこの温度が、体を目覚めさせてくれます。

汗をたくさんかくことができますし、それでいてリラックスもできる温度だと感じています。

寒い冬で浴室をあけて寒い冷気が入ってきても、ほとんど寒さを感じないくらいに体温をあげることができます。

41度というお湯の温度は現在の私の最適解ですので、熱すぎる、という場合はその都度調整をしていただければと思います。

② 10分〜15分、じっくりと

「41度」のお湯に10分〜15分浸かると、カラダの深部体温が約「1度」上昇すると言われています。

肩までしっかり浸かり、額に汗がにじんでくるくらいを目安に。

③ 再燃期は様子を見ながら

出血や激しい腹痛がある時期は、無理は禁物です。

あくまで「寛解期を維持し、体を整えるための習慣」として、体調と相談しながら取り入れましょう。


4. おまけ:心もお風呂場も整える「ついで掃除」の習慣

最後にもう一つ、QOLを高く保つための小さな秘訣をお伝えします。

お風呂上がりに体を拭いた後のフェイスタオル、そのまま洗濯機に入れていませんか?

私は、体を拭き終わったそのタオルで、浴室の鏡やシャワーヘッド、蛇口周りの水分をサッとひと拭きするようにしています。

水垢(ウロコ)を未然に防ぐ

鏡や金属部分の曇りは、水分が乾くときに残るミネラル分が原因です。濡れているうちに拭き取れば、水垢になることはありません。

掃除の時間をゼロにする

毎日の「10秒のひと拭き」を習慣にするだけで、休日にわざわざ洗剤を使って磨き上げる手間がなくなります。

ピカピカの鏡やシャワーヘッドは、翌日の入浴タイムをより清々しいものにしてくれます。「自分の体を整えたついでに、場所も整える」

この小さな循環が、日々の暮らしに心地よいリズムを生んでくれるのです。


おわりに:今日から、湯舟に浸かってみませんか

「お風呂を沸かすのは面倒だな」と思う日もあるかもしれません。

でも、その15分間の入浴があなたの大切な腸を守り、明日のパフォーマンスを支える強力なサポーターになってくれます。

「自分を労わる時間」を、意識的に作る。

今夜はぜひ、ゆっくりと湯船に身を委ねてみてください。