仕事のプロジェクトがひと段落した打ち上げ、久しぶりに集まる友人との忘年会、週末のリラックスタイム……。

30代の男性にとって、「お酒」は生活の様々なシーンに深く関わっています。

かつての私は、どちらかと言えば「いける口」でした。

ジョッキを片手に語り合う時間が好きでしたし、ストレス発散の手段でもありました。

しかし、潰瘍性大腸炎(UC)と診断され、自分の体と真剣に向き合う中で、私は一つの大きな決断をしました。

それは、「アルコールを、暮らしから手放す」ということです。

今回は、お酒好きだった私がなぜ断酒を選んだのか。

そして、飲み会文化が根強い社会の中で、どのように「飲まないスタイル」を確立していったのかをお話しします。


1. UCの腸にとって、アルコールが「劇薬」になる理由

「少量なら百薬の長」という言葉もありますが、こと炎症を抱えた腸にとって、その理屈は通用しません。

私が身をもって体験した、アルコールがもたらすリスクは主に3つです。

粘膜への直接的な攻撃

アルコール(エタノール)には、細胞の脂質を溶かす作用があります。

ただでさえ弱っている腸の粘膜にアルコールが触れることは、傷口に塩、いや、消毒液を直接塗り込むような強い刺激となります。

蠕動(ぜんどう)運動の暴走

お酒を飲むと、腸の動きが活発になりすぎることがあります。

これが、UC患者にとっては「急激な下し」に直結する可能性があります。

楽しい宴席の途中でトイレに駆け込む不安は、精神的にも大きな負担でした。

脱水と炎症のリスク

アルコールの利尿作用は脱水を招き、腸内の水分バランスを崩します。

その結果、便の状態が悪化し、炎症が再燃するきっかけを作ってしまうのです。

「たった一杯のビール」が、数週間の不調を招くかもしれない。

その代償の大きさに気づいた時、グラスを置く決意が固まりました。


2. 30代男性のリアル:「飲み会」をどう乗り切るか?

頭では分かっていても、実践が難しいのが日本の社会人です。

「乾杯くらいは…」「ノリが悪いな」という無言の圧力は、確かに存在します。

私が試行錯誤の末にたどり着いた、角を立てずに、でも自分の体を守るための「断り方」の極意はこれです。

極意:「ドクターストップ」を印籠(いんろう)にする

「すみません、実は腸に持病があって、主治医からアルコールは一滴もダメだと厳しく止められているんです。今日はノンアルコールで誰よりも楽しみます!」

ポイントは、明るく、ハッキリと、そして「医者の指示」であることを伝えること。

曖昧に「今日はちょっと…」と濁すと「まあまあ一杯」と付け入る隙を与えてしまいますが、ドクターストップと言われれば、無理強いする人はまずいません。

むしろ「体、大事にしてね」と気遣ってもらえることがほとんどです。


3. 飲まないからこそ分かる、「ノンアル」の豊かな世界

アルコールをやめて気づいたのは、「酔わなくても、場は楽しめる」という事実です。

むしろ、シラフでいることで会話をしっかり記憶できますし、何より翌朝の体調が劇的に違います。

二日酔いの頭痛も、お腹の不調に怯えることもない、清々しい朝。

これは何物にも代えがたい快感です。

そもそも私自身、二日酔いの頭痛がかなり苦手なので、お酒を断って快適な生活を送れています。

そして今、世の中は空前の「ノンアルコールブーム」です。

ノンアルコールビールもおいしいものがたくさんあります。

  • クラフトコーラ・ジンジャーエール: スパイスが効いた大人の味わいは、お酒に負けない満足感があります。

  • 高品質なノンアルビール: 最近の製品は、泡立ちや喉越しが本物と遜色ないレベルに進化しています。

  • 炭酸水+レモン: シンプルですが、口の中がさっぱりして食事によく合います。

「お酒の代用品」ではなく、「積極的に選びたい美味しい飲み物」として楽しむ。

思考を切り替えることで、私の食卓はむしろ豊かになりました。


おわりに:手放したのは「お酒」ではなく「不安」だった

アルコールをやめることは、私にとって何かを「我慢する」ことではありませんでした。 それは、宴席でのトイレの不安や、翌朝の体調不良への恐怖という「ネガティブな要素」を手放すための、前向きな選択でした。

グラスの中身がビールでもウーロン茶でも、大切な人と過ごす時間の価値は変わりません。

もし今、お酒との付き合い方に悩んでいる方がいたら、一度「飲まない期間」を作ってみてはいかがでしょうか。

その穏やかな体調を知ってしまったら、もう元の生活には戻れなくなるかもしれませんよ。