「お腹に優しい食事」を追求していくと、最終的にたどり着くのは「出汁」の文化です。 脂質や刺激物を制限しなければならない私たちの食卓において、昆布がもたらす深い味わいと栄養は、まさに救世主と言っても過言ではありません。

しかし、昆布は非常に強力なパワーを持つ食材であるがゆえに、闇雲に摂れば良いというわけではありません。メリットを最大限に引き出し、リスクを最小限に抑える「賢い付き合い方」が必要です。


1. 究極の旨味成分「グルタミン酸」が胃腸を癒す

昆布の最大の魅力は、なんといっても旨味成分の代表格であるグルタミン酸です。

  • 「満足感」の源: グルタミン酸は脳に「美味しい」と感じさせるだけでなく、胃腸の粘膜を保護し、消化液の分泌を促す働きがあると言われています。脂っこいものを避ける私たちの食事において、昆布出汁の「コク」は、物足りなさを解消してくれる最強の武器です。

  • ジオ・プロダクトとの相性: 私の愛用する「ジオ・プロダクト」の片手鍋は、昆布出汁を取るのにも最適です。水に浸した昆布を低温からじっくり加熱し、沸騰直前で取り出す。この繊細なプロセスにおいて、ジオの鍋の均一な熱伝導と気密性は、昆布の雑味を出さずに旨味だけを抽出する手助けをしてくれます。


2. 水溶性食物繊維「アルギン酸」と「フコイダン」の力

潰瘍性大腸炎(UC)患者にとって「食物繊維」は注意が必要な成分ですが、昆布に含まれるのは水溶性食物繊維が中心です。

  • 腸内細菌の餌になる: 「アルギン酸」や「フコイダン」といった昆布特有のヌメリ成分は、善玉菌の格好の餌となります。腸内フローラを整え、便の状態を安定させるサポートをしてくれます。

  • 炎症を抑える可能性: 特にフコイダンについては、抗炎症作用や免疫調整作用に関する研究が進んでおり、炎症性の疾患を抱える私たちにとって非常に興味深い成分です。


3. 【実践】炊きたてご飯に「一切れの昆布」

電子レンジを使わず、毎日炊飯器でご飯を炊く習慣の中に、ぜひ取り入れてほしいのが「昆布と一緒に炊く」ことです。

  • やり方は簡単: お米を研いだ後、3〜5cm角に切った出汁用の昆布を一枚乗せて炊くだけです。

  • 仕上がりの違い: 炊き上がったご飯は、昆布のミネラルと旨味を吸い込み、一粒一粒がツヤツヤと輝きます。レンジで温めた冷凍ご飯では決して味わえない、この「滋味深いご飯」こそが、疲れた腸を優しく満たしてくれます。


4. 【重要】昆布を摂取する際の注意点

昆布は素晴らしい食材ですが、UC患者、そして日本人が特に気をつけなければならないポイントが2つあります。

① ヨウ素(ヨード)の過剰摂取に注意

昆布は全食品の中でもトップクラスの「ヨウ素」を含んでいます。

ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料となる大切なミネラルですが、摂りすぎると逆に甲状腺機能に影響(低下症や亢進症)を与えることがあります。

  • 対策: 毎日大量に「昆布そのもの」を食べるのは避けましょう。基本は「出汁」として利用し、具として食べる場合は適量を心がけてください。

② 「残渣(ざんさ)」としてのリスク

昆布そのものは不溶性食物繊維も含まれており、非常に硬い食材です。

  • 対策: 炎症が起きている「活動期」には、昆布そのものを食べるのは控えたほうが無難です。あくまで「出汁」として栄養と旨味だけを抽出したものを取り入れましょう。寛解期であっても、食べる際は細かく刻んだり、柔らかく煮込んだりして、消化の負担を減らす工夫が不可欠です。


5. 市販の「だしの素」ではなく「本物」を選ぶ理由

コンビニの弁当や市販の「だしの素」には、先ほどお話ししたソルビン酸(保存料)や、化学調味料、大量の塩分が含まれていることが多々あります。

これらはデリケートな私たちの腸にとって、炎症の火種になりかねない「ノイズ」です。本物の昆布から取った出汁には、保存料も余計な塩分も入っていません。

「引き算の食生活」の極意: > 化学的な添加物を引き、自然な旨味を足す。このシンプルな繰り返しが、数年後の私たちの体の「土台」を作ります。


おわりに:海の知恵を、日々の平穏に。

南部鉄器で沸かした白湯、ジオの鍋で蒸したしいたけ、そして昆布の旨味が染み込んだ炊きたてのご飯。 私の暮らしは、派手なご馳走はありませんが、自然の理に適った「本物」たちに支えられています。

昆布の深い旨味をじっくりと味わうとき、私たちは自然の一部であることを再確認します。焦らず、急がず、海の滋養を借りながら、一歩ずつ寛解の道を歩んでいきましょう。